【金烏玉兎】

いま、本日の作業を終えました。
作っていたのはこれ。

布ビーズです。
はぎれに接着芯を貼って、ボンドを塗りながら串を芯にして巻きます。
かわいたらできあがり。
オーナーの依頼で、中央がふくらんだ、クロワッサンタイプの物を試作したのです。
そこから発展して、メンバーさんのアイデアで、マニキュアでコーティングしてガラス化させることに。
そうすると、こうなります。

飴みたいにテカるのです。
イデアを下さったメンバーさんは、漆塗りの鞄を制作してらっしゃる方だとか。
コーティングに際し、いろいろアドバイス戴けて嬉しかったです。
なんだか、若い頃に逢った工芸作家さんを思いだしてしまいました。

その方は、当時、「金烏玉兎」という工房名で活動されていた石工さんでした。
天川の辺りで、川で水晶を拾っては、それを加工して活動されてました。
わたしは「金烏さん」と呼んでましたが、お聞きした石の話や、作業の話は夢のようで、そういう生活に憧れました。
当時、家の中が緊張していたこともあって、わたしの顔つきが尋常ではなかったのだと思いますが、
金烏さんが、「卒業したら、うちへくるか?」といってくださったのがすごく嬉しかったです。
(すぐ、奥さんに叱られてましたが…)。
今でもときどき、あの時ほんとに金烏さんについて行ったらどうなっただろうと思います。
結局、こうして本当に奈良へ来たのでなおさらそう思います。
でも、二十歳で奈良に来てたら、とりあえずORIGINのみんなとは出逢えなかったし。恋愛も知らない人生だったと思います。たしかに全然ちがう人生だったろうけど、違いすぎて「その子」はすでにわたしではないなと。思うのです。

金烏さんは、現在は工房名は変わったようですが、東京のミネラルショーのカリスマだそうです。
ほんとうに、最後にお逢いしてからも17年間、石一筋でやってこられたのだなあと、胸が熱くなりました。
サイトでお顔写真を拝見して、なんだか泣けました。老けたのはお互い様です(笑)。

これが金烏玉兎のブレスレット。

「糸が切れたらいつでも直してあげる」と云ってくださった宝物です。
今のわたしはもう、切れても自分で直せるのですが、そう思うと、ずっと背中を追いかけてきた気がします。
憧れの方です。